りんごの思い出(長野編)
スーパーの産直コーナーに、珍しく長野県産のりんごがあった。3年前、長野県の渋温泉でりんごを食べて以来、「長野県のりんごは美味しい」という刷り込みができてしまった。
その時りんごをいただいたのは、温泉街にある純喫茶信濃路。ご高齢の女性オーナーと息子さんが営む、懐かしい感じの小さな珈琲店。コーヒーを注文すると、りんごを剥いて出してくれた。それがとても甘くて冷たくて、瑞々しくておいしかった。
丁寧に淹れられたドリップコーヒー、入店時流れていたフォークソングのカセットテープ、私を見てBGMを最近のJ-POPに変えてくれたこと、ひとつひとつの思い出と相まってその美味しさが記憶に深く刻み込まれ、それ以来私は長野県産のりんごを探すようになった。
でも私の住む名古屋市では、スーパーに青森県産のりんごが並んでいて、長野県のりんごはあまり見かけない。
今読んでいる本「タネが危ない」。この本に、生産された作物が地元で直接流通せず、一旦東京や大阪等に集約されてまた産地に戻ってくるというようなことがあると書かれていた。
この本も2011年に刊行されたものだから、今はまた事情が違うかもしれないけど、長野県のりんごがこんなに近い愛知県でなかなか見かけないのも、何かそういった流通上の大人の事情なのかもしれない。
長野のりんごはやっぱり美味しかった。きめ細やかで実がきゅっと引き締まっていて、甘く瑞々しく華やかな香り。
※純喫茶信濃路について